高橋源一郎『日本文学盛衰史』 読書しつつ感想しつつ(38) -----ネタバレあり。注意。 そして、いつの日にか 尾崎紅葉は、門下には外国文学の研究を禁じたものの、 自らは外国の小説を誰よりも読んでいた。 そのころ『罪と罰』が紹介されて衝撃を与えているが、 その訳をした内田魯庵に、ドストエフスキーの名を教えたのも、 ほかでもない紅葉だった。
読んだことも、およそ読むつもりもなかった明治の作家について、 ◆
その二人の会話。
パワーズを貸そうかと言われて、 ◆
この章では、紅葉の死がまず綴られる。
眉山はいつも、薄く、温く、浅かった。ほんとうのところ、眉山は作家ではなく、作家の如きものであったのかもしれない。紅葉や藤村や一葉や透谷や鏡花といった作家達と立ち交わるうちに、自分もまたそのような作家の一人であると思い込むに至っただけなのかもしれない。だが、そのことで眉山を責めることはできない。どの時代にも、数えきれぬほどの眉山が存在するのである。◆
ところで、尾崎紅葉の『金色夜叉』については、
『金色夜叉』を読んで驚いた。面白いのである。ほんと。読んだことがないけど名前はだれでも知っている日本文学を探ってきたわたしであるが、やはりその王者は『金色夜叉』ではないか。そう思って読みはじめたのだが、正直いってぜんぜん期待していなかったのだ。それがまあ、なんと、紅葉! 最高! っていうぐらい面白いのよ。やっぱり食わず嫌いはいけません。「当代風俗小説で明治中期の最有力作家」という条件付きながら、 高橋源一郎にここまで(パワーズ並みに)誉められると、 いっかい読んでみるか、と思わせる。
しかし、それよりも、 ◆
そして、いつの日にか
『日本文学盛衰史』は、
そして、いつの日にか
2001.6.20 |