高橋源一郎『日本文学盛衰史』 読書しつつ感想しつつ(24) -----ネタバレあり。注意。 されどわれらが日々2 「あの人」に導かれ、 詩人の春を過ごした島崎藤村。 しかし今はもう 「あの人」が死んで早や50年。
日本は戦時下にあり、 ◆
今は老人となった藤村の前に、
藤村が若かりしころに書いた?詩を ◆ 青年と藤村老人の会話は続く。
「先生がいらした一九一四年のパリの夏も、酒は苦かったのですか?」『新修国語総覧』を見ると、 この年、藤村は 「姪こま子との不倫事件からフランスへ去る」とある。 その事件を「大胆に暴露した告白小説」が 『新生』だ。
そんなことを
わたしは半世紀を遥かに超えて書き続けてきました。わたしはわたしという井戸を掘り続けてきたのです。それがどれほど貧しい井戸なのか、わたしは誰よりもよく知っています。この井戸はとうに涸れ果てているのかもしれません。あるいは、この井戸からはもとより飲むに適せぬ、濁り水しか掬えぬのかもしれません。仮にそれが泥水だったとしても、わたしにはこの井戸以外から汲むことはできなかったのです。う〜ん、まったく、それはいったい何だろう? 答えは出るのか、この章で、この本で。
すると、ある男が、
2001.6.14 |