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だらだら話 8

  インドでの経験
ずいぶんご無沙汰しました。2月の初めから4月のはじめまでパラグアイを中心に旅をしてきまして、4月の終わりからまた半月、インドへ行ったりしていたものですから、なんだかこれに向かう習慣がなくなってしまったのです。 またぼちぼちとやりますので宜しく。

パラグアイはあまり日本人に知られていないので、土産話を待っていてくださった方もいらっしゃるようですし、私もいろいろお知らせしようと、張り切って帰ってきたのです。

でもそのあとインドに行きまして、今回は衝撃的な経験をしたものですから、パラグアイが、心の中でどこかへ飛んでいってしまったのです。

パラグアイの事は、いずれその内にゆっくり書くとして、今回はインドでの経験を書かせてください。

そのまえに・・・・・・
小さいQ.A. 便秘について

Q:お通じを良くする方法があったら教えて下さい。

A:いろいろありますが、人によって合う合わないがあるようです。今日は一番最近インドで教わって来た方法で、私にはたいへんよくきいた方法をお知らせします。

朝起きぬけにレモンジュースを飲みます。その後30分間飲み食いが出来ないので、私は起きたら歯を磨く前にとにかく飲みます。これでぱっと目がさめます。30分たったら、コップいっぱいの水を飲んでその後は、何を飲んでも食べてもかまいません。

レモン汁の量はコップの底に1ミリから2ミリくらいです。市販のものなら大体半個弱くらいでしょうか。レモン絞りで絞ります。それに同量の水を加えて、かっと飲みます。砂糖など入れては駄目です。すっぱくても量が少ないので案外平気で飲めます。副産物として、これで目がパッとさめます。私は寝ぼけ眼で台所に行くことにしています。

そのあとまた2ミリくらいの水を飲んで、口のすっぱさをとります。

慣れてきたらこの3倍の量にまで増やします。少しずつ増やす事。半月くらいは最初の量を保たれる方がいいと思います。早く増やしすぎて、口の端が切れた人がいますので気を付けてください。特に胃の弱い人は少な目から始めてください。【過ぎたるは及ばざるが如し】と言われていますが、私は、【過ぎたるは及ばざるに劣る。】と言いたいです。なんでもやり過ぎないようにして下さい。 

柚子やスダチの季節になったらそういう日本固有のもののほうがベターです。

こういうものは、合う合わないがあります。15回くらいは諦めないでやってください。私には馬鹿に合って、10回目から大効果が現れました。最初の2ミリの量でです。習慣付ければ簡単です。この頃は毎朝トイレに行くのが楽しみです。また人生の楽しみが一つ増えたと言う感じです。

インドでガンジス河のほとりの茂みに行くと、インド人のしたアトがよくあります。何であんなに外でするのかは知りませんが、とにかく見事なかたちのがあるのです。あんなのができればいいなあと、何時も横目で見ていましたが、やっとそれに近いのを産出する事が出来るようになり,嬉しくてたまりません。さっきも書きましたようにこういうことは合う合わないがありますが、すでに実行して効果のあがっている方もなんにんかいらっしゃるので試してみてください。

これで駄目なら他の方法もお教えします。ボスチクリアというヨガ独特の腸の洗浄もあります。が、これはちょっと大変なので,このレモンでうまく行けばいいと思います。

不明なところ質問してください。

本題に入って・・・・・

【インドでの経験】

私は56歳の時にはじめてインドに行ってヨガを習い始めました。それ以来,17年間くらい殆ど毎年インドに行っては、少しずつヨガを習い足してきたのですが、今回初めて患者さんを連れて行きました。私の先生のNandy先生は、ヨガの道場の先生ではなくてヨガで病気を治すお医者さんなのです。

お連れしたのは,うつ病のかたでした。知人から頼まれて、持ち前のおっちょこちょいから、「いいですよ」と安請け合いしたものの、ご本人にお会いしたら、かなり重症のようなのですっかり困ってしまいました。「こういう人を連れて行って一体どうなるのだろうか?」と。正直なところその4,5日くらいは、私にしては珍しく憂鬱でした。

夫に言えば「やめろ。やめろ。」と言われるのは解っているので、夫にも言えず、一人でぐじぐじしていました。

結果から言えば大成功で、すっかり元気になって帰ってこられたので、ほんとに良かったのですが、最初はずいぶん心配しました。

色の白いきれいな28歳の女性ですが、成田を発つまではものも言わない蝋人形のような感じでした。私としては、蝋人形をつれていったら、人間の女性が帰って来たという感じです。

皆さんも不思議に思われるでしょうから、向うでどういうことをしたか記してみたいと思います。

Nandy先生の治療はまず触診から始まります。日本でもちょっと前までは、どのお医 者さんも触診を必ずしたものです。聴診器を胸に当てたり、脈をとったりです。この頃はそれが姿を消したようですね。Nandy先生にそのことを話しましたら、「それでどうやって病気を見分けるのだ?」と吃驚されました。私もそれは同感です。

触診でお腹や背中を押された時,患者のYさんは「いたい!いたい!」と悲鳴をあげていました。

その結果,先生の見立ては、「主なトラブルはおなかにある。」というのです。私は,神経系の病気なのに、そんなこと言っていていいのかと心配になりましたね。

そして処方してもらったアサナ(ヨガのポーズ)を私がYさんに指導してあげるわけですが、そのアサナも、ほとんどお腹対策ばかりなのです。

私はすっかり憂鬱になりました。インドはのんきな国なので,神経を病む人があまりいないのではないかしら。Nandy先生もそのほうにはあまり経験が無いのではないかしらと。

でもまあ先生の言うとおりにするより仕方がなかったのです。

Yさんはそれまで2年間病院に通っていて、お薬を日に4回飲んでいました。その他に,眠れないので,毎晩睡眠薬を飲んでいました。

1日目は睡眠薬を飲んで寝たのですが、2日目に先生が,「ウエットパックをすれば眠れるから、今晩からそれをして薬をやめてごらん。」と言われ、そのとおりにしたら、睡眠薬無しでぐっすり眠れたのです。

あとから思えば,この辺からYさんの先生に対する信頼の念が芽生えたのではないかと思います。

このウエットパックについては、あとで詳しく書きます。 

この後は,順調にいきました。4回飲んでいた薬も、1回ずつ減らして,4日間でやめました。飲まずにいられなかった炭酸飲料水も飲まなくなったし、驚いた事にはタバコまで自発的にやめられました。 私自身以前はタバコを吸っていて、止めたいと思っても、意志が弱くて止めるのに5年もかかりましたので、これには驚きました。 インドのタバコがまずかったのも良かったようです。

とにかく驚くほど順調に元気になって行って、私にもいろいろと話をしてくれるようになりました。 よく知り合ってみると頭の良いすばらしい女性なのです。この人があんなになっていたのかと恐ろしくなりました。

日本に戻ってから再発しないかと心配したのですが、その後1ヶ月近くたっていますが、ずっと明るく元気でいるようですから、もう大丈夫だと思います。ほんとにお連れして良かったと思います。

ではどんな生活をしたかを具体的に書いてみましょう。

その前に、かなり個人的なことを書くようになるので、ご本人にOKをとらなくてはと思いつきました。そのやり取りもここにのせてみます。

Yさんへ

こんな調子で貴方の事を書きたいのですがかまいませんか?差支えがあったら言ってください。また発表するならここのところは変えて欲しいと言うところも。・お返事お待ちしています。

Yさんからの返事

今日は、NPOの面接にいってきました。採用されるかどうかは来週に決まります。
面接では、日本の現状や今までかかわってきた、街 づくり活動、ジェンダー、環境、そして行政への市民 参加など、40分ぐらい話が止まりませんでした。
自分でも生き生きしているなぁ。と久しぶりに実感しました。
これも、木村先生、ナンディ先生、ナンディ先生一家のおかげです。ヨガのすごさを実感しています。 余談ですが、弓のアサナが足があがってきました。やれば、できるんだなぁ。と思いました。

先生の【だらだら話】はとてもおもしろいです。どうぞ、そのまま、書いてください。続きを楽しみにしています。

インドに行く前はすごくおっくうで、頭がぼーとしてなにがなんだかよくわかりませんでした。自分自身 自信がなくて、なんだか世の中に自分がいるのが申し訳なく思っていました。薬を大量に飲んで、自殺未遂までしたこともありました。(4回も救急車で運ばれました。)精神病院には昨年の11月から12月に かけて、1ヶ月、入院していました。

日本に帰ってきたら、呼吸が深くできてきて、かなり自信を取り戻してきました。インドの風、緑、ガンジス川の流れ、ゆっくりと身体の中で吸収してきました。

薬の方は自分的には飲まなくてもいいのですが、一応、掛かりつけ阿佐ヶ谷のクリニックで、「インドに いったら、元気になった。」と先生にいったら、「表情が、前とまるで違うよ。別人みたい。」といわれましたが、薬は一気にやめると、また、鬱が再発するかもしれないといわれて、1日4回の薬が2回に減りました。 でも、飲み忘れてしまうことが多く、あんまり 飲んでいません。

長文になってしまいましたが、ご容赦ください。
また、明日のヨガ教室、よろしくお願いします。


それでは、YさんのOKがでましたのでつづけます。

朝起きたらすぐに前記のレモンを飲みます。このレモンは,どういうわけか先生が大きな手で絞って毎朝用意してくださいました。

30分間はなにも口に入れないようにして、30分たったら水をたっぷり飲みます。更に20分たってからアサナをやります。どんなアサナを処方されたかは後で書きます。アサナと呼吸法で1時間半かかりました。

この辺でそろそろ暑くなってくるので一度シャワーを浴びてここで朝食です。は果物とラッシーです。 ラッシーとはインドの飲み物で、ヨーグルト+レモン+砂糖+水です。おいしいですから試してみてください。

果物と他の食べ物とを一緒に食べる事はしません。日本のように「食後に果物を」と言う事は無いのです。これは習慣ではなくて、果物と他の食べ物とは消化の難易度が大変違うのでいけないということです。

Yさんの場合、朝食の果物は、りんご、ぶどう、梨、ざくろ、この4種類を同量食べるように処方されました。が、この季節にインドでは梨がないので、残りの3種類を同量に食べていたようです。

Yさんに限らず、朝食は非常に軽い物です。ちゃんとした食事は消化するのに4時間から,4時間半かかります。朝食から昼食までの時間が3時間足らずなので、ほんの軽い物しかいただきません。先生は多分朝食抜きだと思います。

10時になると先生の診察が始まります。毎日、聴診器を当てて、お腹を見て、背中を見て,血圧を測ってという診察です。それによってアサナが変わることがあります。

昼食は12時前に食べ終わると言うのが原則です。消化力はお日様の高さに比例するので、お日様の一番高いときに食べるのです。勿論、昼食がその日の一番メインの食事です。夕食はまた軽い物になります。

シャワーを浴びてから昼食を取ります。食べた後は水を飲めないので、食事の20分くらい前までに水を飲んでおきます。

主食はごはんです。勿論,菜食ですが、先生のところは、とくに粗食と言うわけではありません。たっぷりとした食事です。

普通、インドの食べ物は、口がひんまがるほどからいのですが、先生のところではチリがご法度なので、辛い物はまったくありません。

変わっている事と言えば・・・・・・

(1)必ず苦い物が出て,最初の一口はまずそれを食べるのです。にが味が消化液を誘ってくれるそうです。

インドには一年中苦い物があります。日本には季節によって、冬などは苦い物がないように思います。沖縄にはにがうりがあることを考えると、暑いところでは苦い物が必要であるように思えます。

これは私の意見ですが、日本でも苦い物のある季節には,それを食べると良いと思います。例えば、蕗の季節には,蕗の葉を佃煮にして食べるとか。日本に苦い物が少ないのは、日本の温暖な気候と関係があるように思います。

私がインドで教わって来たことを、そっくりそのまま日本人にすすめることは出来ないなと思って、中国医学関係の先生のお話も努めて聞こうとしているのはこのためです。気候が違うといろんなことがずいぶん違います。なるべく日本固有の食べ物を食べた方が良いという意見に私は賛成です。

昼食には必ずサラダが出ます。この中で特に生姜は絶対に食べるべしとされています。にんにくの生も,玉ねぎの生も、日本のほどは辛くなくて食べやすいです。

ご飯には必ずじゃがいもが皮付きのまま炊き込んであります。ジャガイモの皮と実の間に、ごく良質の蛋白質が含まれているそうで、皮のままのジャガイモを実によく使います。ただご飯の中に入れて炊いたものは毎食出されます。こうすると、どういうわけか,ジャガイモがたいへんおいしくなります。皆さんも試してみてください。このジャガイモにバターをつけて食べてもおいしいのです。

その他はいろんな野菜を料理したもので、オクラもよく出てきます。

日本に無い野菜も多いのですが、ご存知の物で珍しいのは、芥子(けし)の実のあえものです。芥子の実は,日本では、アンパンのおへそくらいでしかお目にかかりませんが、インドでは、これで胡麻和えのようにします。おいしいですよ。

前述のように食後の果物はありませんが、自家製のヨーグルトを必ず食べます。

食後が大変なのです。なにしろ、うつ病でさえお腹から来ているというくらいの先生ですから、消化についてはすごく煩いのです。そのため,食後一時間は、水を飲んではいけないし、眠ってもいけないのです。

食後一時間は、濃い胃液での消化が必要な時間帯だから、水をのんで胃液を薄めてはいけないということです。この点に関しては、いろんな意見があるようですが、Nandy先生の意見はこうで、私はもうすっかり、これで仕込まれてしまいました

眠るのを禁止されるのも消化のためで、眠ると,胃の働きが鈍るから、この大切な時間帯には睡眠禁止なのです。

インドは暑いのでみんな昼寝をします。お店屋さんもすっかり閉まってしまうのです。そんな中で,一時間寝られないのはかなりつらいですが、なんとか気をまぎらして起きています。一時間たったら、それっとばかりにベットにとびこみます。

(続く)



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〈筆〉waikari bahchan=木村詩世