哲学大陸・言葉ルート

涌井 史明氏の試論2

言語ゲーム

 では、少々視点を変えて、言語抜きで我々人間が思考できるのかということを考えてみます。しかし、これはすぐにつまづいて しまうでしょう。なぜなら、言語の存在しない状態を言語で思考しなくてはならないからです。これは矛盾です。言語のない状態 を言語の網の中に取り込もうとしているからです。まさにその様なことの外にこそ、言語の存在しない状態があるのです。底の抜 けた容器に必死に水をためようとするようなものです。言語を使用する限りは、言語の外に出ることは不可能なのです。このこと をウィトゲンシュタインは、「言語ゲーム」という言葉で言い表しました。我々は、常にすでにその様な中にあるのです。我々は 、生まれ落ちた瞬間に何らかの言語(日本語であったり、英語であったり)によって営まれる言語ゲームの中に巻き込まれるわけ です。(つづく)


戻る                  進む
涌井 史明氏のメールアドレス=wackey@big.or.jp

出発地へ