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だらだら話 10
パラグアイ編
ずいぶんご無沙汰しました。8月の末に塾の合宿から帰って、すぐその脚で、インドに行きました。その時自分の能力の限界を考えずに、Nandy先生の診療を受ける方を5人もお連れしたのです。これが過労を招いたらしく、帰ってから、ひどい状態に陥りました。33年前に塾を始めてから、病気で休んだ事は多分無かったと思うのですが、今回は2週間近く休んでしまいました。辛い思いもしたし、夫にも大変世話になりましたが、一方いろいろと学ぶ事もたくさんありました。また少しずつお話していきたいと思います。
第10話の原稿を7月に作ってあったのが、そのままになっていました。今読み返してみましたら、なんとか読めますので、お目にかけることにします。
パラグアイのことを、と言ってくださる方がいらっしゃるので、書いてみることにします。と、なんともパンチの効かない書き出しです。パラグアイが私の中で大分遠くなってしまっているので。でも書いているうちに思い出すでしょう。 例によって、「その前に」というのがつきます。 一つは、第8話でご紹介したレモンの件。これはずいぶん反響がありました。知らない方からまでお礼の連絡を戴いたりして、感激しています。大体の方が、便通が良くなったということですが、その他に疲れにくくなったという方も何人かいらっしゃいます。とにかくお知らせして良かったと思っています。
でも一方、胃の弱い人から、きつすぎるのではないかという、ご指摘もありましたし、胃壁を荒らすのではないかというご懸念もあったようです。胃の弱い人に関しては、最初は抵抗があったが、少しずつ増やしていったら大丈夫だったというお知らせが多いです。
この点に関して、Nandy先生から、お手紙が来ましたので、ご紹介します。私は、専門の知識を持ち合わせておりませんので、先生の意見を紹介するだけしかできません。後は皆さんが、ご自分で判断してください。でも、「病は気から」という名言もあることです。どうかなあ?と思われる時は、誰がなんと言おうと、やらない方がよいと私は思います。これは何に関しても言えることですよね。
【Nandy先生の意見。】
空腹の時にレモンジュースを飲む事は、胃に悪くないかという質問に対して。なんだか難しい話になってきましたね。難しい話はきらいなんだけどな。でも今、友人の中に、クエン酸の専門家がいることを思い出しました。クエン酸について、日本中を講演している人です。面白いからこの方の意見も聞いてみましょうね。
クエン酸(レモンの酸とクエン酸はいっしょだったのですね。知らなかった!!!)が、害をするのは、間違った用法をしたときです。胃の弱い人はクエン酸を炭水化物と一緒にとってはいけません。これだけは、注意する事。胃の中で、クエン酸はナトリュームイオンと、カリュームイオンと反応して、その結果できた物質が塩酸を中和します。この塩酸が毒素を出す曲者なのだから云々。これに関しては、君が今度来た時もっと話そう。
と、すぐに野次馬根性が頭をもたげるのです。でも炭水化物と一緒食べてはバツと言うくだりなどいささか気になりませんか?もしこの専門家の意見が聞けたら、そしてそれが難しくなかったら、次号でお知らせしましょう。
次は、【鬱がなおったYさん後日談】
「その後あのYさんはどうしていますか?」と気遣ってくださるかたもいらっしゃるので、ご報告代わりに。ご無沙汰しています。とこんな調子です。なんだか大丈夫そうだと思いませんか? やれやれ。
ようやく、修論を提出しました。あとは、口述試験だけです。(Yさんは大学院にも通っているのです。)
6月は友達の結婚式や、試験、旅行などで、ヨガ教室に思うようにはかよえず、残念でした。
しかも、また明日から旅行へでかけるので、またまた先生に会おいすることができません。
早く、お会いしたいです。
でも、旅ができるようになるまで回復してきてよかったです。
今までは旅にいっても、車で寝ているばかりで、旅館についてもねてばっかりいました。
友達が結婚式で新婚旅行が楽しみ〜。といっていましたが、私のときはうつうつでいきたくなかったけれど、もったいないからと、その理由からだけでいって、その様子をとった写真が成田空港やホテルで寝てばっかり、の様子を旦那がとっていました。薬の方も、かなり減ってきました。クリニックに行くたびに先生が「顔の表情がよくなったね。」といわれ、鬱のほうは回復に向かっているようです。
就職のほうは、この前のところは駄目だったし、いきなり働くとつかれるので、コンビニなど、探しているのですが、ここらのコンビニには募集がないようですね。
焦らず、やっていこうと思います。では、また。
さてと、この辺でそろそろパラグアイに入りましょう。パラグアイは南米の真中あたりにあって、四方を大きな国に囲まれている、海の無い国です。面積は大体日本と同じくらいです。この知識だけ持っていったものですから、とにかく小さい、こじんまりしたところへ行くんだと思っていた私は、パラグアイに着いた途端に「ええ?!」。
見渡す限りの大草原が地平線まで広がっているのです。これは国土の全部が平地である国と、日本との差からくるのですね。とにかくアメリカへでも行ったような感じでした。
「パラグアイってどんな国?」ときかれたら、青い空と、緑の牧草地と、白い牛と、テレレの国と答えましょう。
さっき言いましたように、見渡す限りの牧草地に、白い牛が点在しているのです。何故白い牛か?って。それは暑いからです。白い牛の方が暑さに強いのです。
食べ物は?主食らしい物がいろいろあるのですよね。ごはん、ジャガイモ、サツマイモ、パン、とうもろこし、それに欠かせないのが、マンジョウカという芋です。サツマイモをもっとあっさりさせたような芋です。こういうものがかわりがわりに主食として登場してきます。私はこのマンジョウカが気に入って、これにバターをつけてよく食べました。
副食のほうは、とにかく肉です。牧草地が広くあって、かなりの高温で、そして適度の湿度があるのですから、牧草がどんどん育ちます。牛をそこに放り込んでおけば、勝手に育って、仔牛を産んでくれます。 だから肉は豊富で、その安いのなんのって、お話になりません。 肉の好きな人にとっては天国でしょうね。カツにしたり、肉の調理法には、たいした変わりはなかったようにおもいます。
ひとつだけ、あちらでしょっちゅうする料理で、取り入れたらよいなというのがありましたので、ご紹介します。カツに似ているのですが、衣が違うのです。何の粉だか私にはわからないのですが、要するにパン粉のごく細かいような物をつけて、油焼きするのです。(ソテーというのですか?)この方が脂っこさがずっと少なくなるので、日本のカツより体にはいいなと思いました。
私の夫も揚げ物が大好きですので、この粉を買ってきてためしましたが、喜んで食べてくれました。応用には、パン粉をもっと細かくして使うといいと思います。それを直接肉にまぶすのです。
さて、最後のテレレですが。マテ茶と言うのをお聞きになったことがおありですか?ブラジルなどでよく飲むお茶です。これを冷たくして飲むのがテレレなのです。
パラグアイ人はとにかく暇でのんびりしていますから、暇な人がごろごろいて、一日中テレレをしているという感じです。これは勿論誇張ですが、そんな、感じがするほど、テレレとパラグアイ人の生活とは切り離せないのです。
数人が輪になって坐ります。その一人がホスト役です。ホストが冷たいテレレを注いで、他の誰かに渡します。それを飲んだ人は、ホストに返します。ホストはまた、次を注いで次の人に渡します。こうして、みんなに行き渡ったら、又初めの人に戻って、このサイクルが際限なく続きます。もういらないという時は、返す時に“グラシアス”(ありがとう)というのです。そういわない限り、際限なく回ってくるのがテレレです。
日本でも、家の外に縁台を出しての夕涼みが、夏の風物詩のひとつでした。この頃は全く見られなくなりましたが、いいものでした。あれに、冷たいテレレ茶の付いたのが、パラグアイのテレレ風景だと思ってください。そしてこれは、夕方だけではなく一日中ついてまわって、てれてれさせてくれるのです。テレレとは言いえて妙だとはお思いになりませんか?
役所にいっても事務員さんがテレレを片手に仕事をしています。テレレを飲みながら仕事の電話をしているなんてザラです。郵便局で切手を買いたい人が列を作っていても、一人の客を済ますと、ゆっくりとテレレをひとくち楽しむまでは次の客の相手はして貰えません。そう、テレレは前記のように、グループで楽しむのが、主流のようですが、一人で楽しんでいる姿もよく見かけられます。
とにかくのんきな国です。牛は仔牛をころころ産むし、主食の一つであるマンジョーカは、ちょっと植えておけばどんどん出来るし、果物は、その辺にいっぱいできるし、贅沢さえ言わなければ結構な生活です。こういうところでは、人々はあまり働く気になれないのではないでしょうか?産業は発達しません。ですから、国は税金がとれないので貧乏です。
本当に貧乏らしいなと思ったのは、国立美術館に行った時のことです。いやしくも、国立なのだから、ちっとはそれらしい絵が並んでいるかと思いきや、とんでもない。杉並区立美術館というものがあるとすればこの10倍くらいは立派だろうと思えるほどです。
国はそれでは困るとばかり、産業を発達させようと躍起になりますが、どうも笛吹けど人々踊らずのようです。あくせく働くより、テレレをしている方が楽しいでしょうからね。
こういうのどかな一面、怖いような面もあります。経済に表経済と裏経済があって、その割合が、半々ぐらいだというのです。裏経済とは、密輸、麻薬など、ほんとに裏の世界で扱われる物です。私などには話しにだけしか窺い知れない世界ですが、これが厳然と存在しているらしいです。また、CDなどの海賊版もパラグアイが一番とききました。
話は、第2次世界大戦の終戦の頃(1945年)に戻って、ドイツのナチの残党がずいぶんこのパラグアイに逃げてきたそうです。何しろドイツからうんと遠い南米で、それも海から離れた内陸ですから、身を隠すには最適だったのでしょう。その人たちが、ナチのお金を持ってきていて、それで身の安全を買ったのだそうです。それが財源になってこの国の裏経済が栄えたのだと聞いております。
以上は私の乏しい経験の中からでたことですから、間違いがずいぶんあると思います。その点勘弁してください。
又、パラグアイといえば、サッカーを切り離せません。そのサッカー熱たるや、まさに、「老いも若きも」です。人々は一日中サッカーのテレビを見ながら、テレレをしている感じです。
日本でも、ワールドカップでは、ずいぶん盛り上がりましたが、なんといっても、日本には、相撲フアンもいるし、野球フアンもいます。パラグアイでは、これが全部サッカーに凝結されているようです。とにかく、サッカーをする人とそのフアンとの層の厚さは、とてもとても日本の比ではありません。
長くなってしまったので、今回はこれで止めます。この次は何時出すか解りませんが、、、、。これがだらだら方式です。ところで、この【だらだら】を読んで、「気楽に生きればいいんだと思い始めて、ずいぶん楽になりました。」おっしゃってくださる方が意外に多いのです。とても嬉しいと思います。こんなものをそういう風に役立ててくださるなんて、なんとか冥利に尽きます。 だらだら生き方バンザーイ!!!!
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〈筆〉waikari bahchan=木村詩世