「君が代」編曲、変奏

  



「君が代」のアレンジはいかが、というページだ。
ウェブ上にあったデータを集めてみた。
*印は、ワンクリックで音が鳴るので注意。

サンバde君が代(編曲 てると) midi*
――「音響倉庫」『おいらのほ〜むぺ〜じ』より

↑「君が代」が地球の裏側から響くとこうなるのだろうか。厳かでない「君が代」、踊れる「君が代」というのは、思いがけない感じだ。似たようなテイストは他にもある。↓

Samba de Kimigayo 君が代サンバアレンジバージョン(編曲 Minoc)
――『ミノックの鍛冶屋』「私の作ったMIDIDATA」からダウンロード

KIMIGAYO ハウスバージョン(編曲 橋坂健太郎) midi* mp3*
―― 「エフコムギャラリー」『エフコム』より

Nippon!Cha-Cha-Cha ver.1.0 (KIMIGAYO)(編曲 いーだま) midi*
Nippon!Cha-Cha-Cha ver.2.1 (KIMIGAYO)(編曲 いーだま) midi*
――「童謡」『いーだまのほぉ〜むぺーじ』より

↑電子化傾向、無国籍化傾向。

君が代〜オリジナルアレンジ〜(編曲 加瀬いおり) midi
――「自作曲集」『VocalPerformers画!書謡』から聴ける

↑これは独特。こんなナショナリズム気分があるとしたら、どんなナショナリズムなのだろう?

祝!沖縄サミット「君が代」琉球音階版(変曲 初代) midi*
――『Der Angriff Copyright Version』より

↑さらり、しみじみ、しかし意味ありげ。なにか鳴り物がそばにあれば、ちょっとやってみたくなる。なお、同サイト自体がリンク集だ。

圭ちゃんのテーマ(君が代REMIXくずれ) midi*
――「「けいちゃんのテーマ」について」『連結クラシック研究室』より

↑爽快! でも「君が代」は聴きとれるか?

君が代葬送行進曲 midi*
――「君が代葬送行進曲」より

↑国威や愛国心は高揚しない。かといって落ち込みもしない。現代音楽風の佳曲。

《少なくとも、 国を表す歌というものが、 その国の庶民が、それを替え歌にしたり、並行演奏のネタにしたりして (時には様々な風刺や批判を織り込みつつも) 楽しみ親しむ自由が保障される代物**でないのであれば、 (更には、その歌を歌いたくない人までが歌うことを強制されてよい 代物だったりすれば当然のことだが)、 それは言論の自由を保障した日本国憲法への重大な冒涜だと思う。 》

君が代 長調の編曲(編曲 DR.町田) midi*
――『DR.町田のホームページ』より

↑《常識的に考えれば短調の曲なんだろうが、長調で編曲することも可能である。》として。

Thinkin’ of U 〜君がYo!〜(words & music : M.SOGAWA rap words : M.NAKAZAWA) mp3*(デモバージョン) mp3*(フルバージョン)
――「ぶらんこSONGS」『ぶらんこ』より

↑「ぶらんこ」というバンドのオリジナル。《「君が代」をBassで演奏し、その上にオリジナルのコード進行とメロディを乗せ、ヒップホップとして完成させています》。ボーカル入りの生演奏とあって聞き応えがある。完成度も高いのではないか。今回いろいろ探した最大の収穫はこれかもしれない。フルバージョンは4.1MBと重いが、余裕があればぜひ一度。《ちょっとよこしまに照れてよ、されど罪悪感もあるんだよ》。こうした歌詞も注意深く聞きとってほしい。

同サイトに、「君が代」が《実はすごく良いメロディを持った曲だと思います》とある。これは私も同感だ。「レ」で始まり終わるところ、明るいとも暗いとも決めかねるところ、そのあたり、むしろ捨てがたい。エスニック風味(日本的)であり、ドレミの並びが独特の「モード」(ドリアン・モード)であるともとれる。なんとも不思議。要するに、今どきの音楽としては珍しくて面白いのだ。他国に対抗する(のがいいかどうかは別にして)という点からも、注目に値するのではないか。

一般に「君が代」は歌詞のみならずメロディーの評判もあまり良くない。侵略の歴史への非難や嫌悪がまずあって、その結果「メロディーもひどく聞こえる」あるいは「いいメロディーであっては困る」といった一面があるのではないだろうか。私も侵略の歴史への非難や嫌悪はあるが、このメロディーが嫌いでない自分を許しがたいとは思わないようにしている。

↓さてさて、編曲ではないが興味深いデータ。『Trumpet Player 野間裕史のページ』の「君が代について」に、「君が代」の成立の経緯がまとめてあり、実際に試みられた3曲の「君が代」がmidiデータで紹介されている。

第一の君が代(フェントン作曲) midi*
第二の君が代(林広守の原作) midi*
第二の君が代(エッケルト和声編曲) midi*
第三の君が代(英国古代の大家ウェブの古歌) midi*

↑第二の君が代が、現在の「君が代」ということになる。

もう一つ。

雅楽「君が代」(歌、笏拍子、龍的笛、篳篥、箏、琵琶) midi*←現在アクセスできません。
――「演奏データ」『田中吉徳のホームページ』より

↑《戦争の洗礼を殆ど受けていない今の君が代の原典といえるものだと思います》というところに、興味をひかれて。

↓次の二つは、「君が代」そのままだが、一応。

君が代 オルゴール風 midi*
――「MIDIのお部屋」『ごめんね。』より

君が代 鉄琴風(by 儀峻) midi* 
――「君が代」『国歌響奏』より

↓さて、ごぞんじ、あの歌声。

忌野清志郎「君が代」 試聴ページ
――『music.co.jp』より

↑どういうわけか、いろいろな意味で、力強く、勇気づけられもする。なお、この「君が代」は試聴もできるが250円で買えもする。

↓同じサイトにこういうのもあった。

WAP2000「君が代 」 試聴ページ

↑この厳かさは、工藤静香がサッカー場で歌った「君が代」を思い出させる。

「君が代」は、歌われると、演奏だけと違って気持ちの揺れは大きくなる。どういうわけだろう。歌詞の意味という以上に肉声ということに意味があるような気がする。また、このWAP2000のような歌い方だと、清志郎と違って聴いていてあまり嬉しくないのはどうしてだろう。かといって、奇麗に歌い上げるのが駄目だ、パロディにしないと駄目だ、というのでもない。まだ、うまくまとめられない。

↓最後に、以前私も編曲というほどではないが似たようなことをしてみたので、それも。

誰が代(編曲 Junky) midi*

 ◆

さてさて。

私は、今のところ、
国歌はあっていいと思う一方で、国歌はなくてもいいと思う。
あってはならぬ、あるいは、あらねばならぬ、とまではわからない。
国歌があるのがまるきり面白くない、というわけではないが、
国歌がないのもけっこう面白いのでは、といったところ。

それから「君が代」について。
「君が代」を国歌と認める人が高らかに厳かに歌っているのを見ると、
どうも楽しい気分にはなれない。しかし、
それについて何か言うのも、よけい楽しい気分になれそうにない。
ともあれ、
私自身が「君が代」を公の場で歌えと命令されたら、
サッカー日本代表と同じで、
やっぱりモジモジ、モゴモゴとしか歌えないだろう。
だいたいこういう立場だ。

そのうえで考えてみたいのは、
「君が代」反対よりも、
「君が代」アレンジのほうが、ちょっとだけ楽しいのではないだろうか、ということ。
(「楽しくないからといって、反対しなくていいわけではない」
  という意見は否定しないけれど。)

アレンジしまくり、消費しまくることができたときには、
国歌のオルタナティブ、「君が代」のオルタナティブが、見いだせる!
……とまで期待できるかどうかはわからないが、
何か見えそうで見えなかったものが、見えてこないだろうか。

「君が代」が床の間に飾ってあれば、たしかに気になる。
しかし同時に、
「君が代」が押入れにしまってあるのも、気になるのだ。
歌わず、触らず、忘れたふりもまあいいが、
歌いまくり、触りまくるのもいいではないか。
「君が代」を「神聖にして侵すべからず」、にするべからず。

日本国や日本国籍のオルタナティブといったことを発想するのが有意義のように思いはじめている。
(参考:天動説としての「在日・帰化」論?
「国家のオルタナってなんだよ?」ということになるが、「君が代」のオルタナからその感触を想像できたなら、幸いだ。

法制化によってわれわれから奪われたのは、君が代の別ヴァージョンを作る可能性なのであった。》(1.9.2001『Yoshiki's Page』)


Junky
2003.6.12

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著作=Junky@迷宮旅行社http://www.mayQ.net