高橋源一郎と体調



高橋源一郎小説で <満喫した>という感じは、あまり持たないですね。 むしろ、 どうにも言葉が出てこない便秘のような症状に襲われます。 あるいは逆に言葉が緩くなってだらだら流れる下痢とか。 私の場合、そういう読後感が普通です。 でも、症状はあっても、病名がわからない。だから薬もない。 小説を読んでそれが分かったというのは、 その小説に効く薬を見つけたということなんじゃないでしょうか。 でも本当に高橋源一郎の強い解毒剤となるような、きちんとわかった、 きちんとした評論は、僕はあまり見たことないです。 ただ、そんな薬が発明されると、その病気は治ってしまって、 もう読みたくなくなってしまうとか。

とにかく私も難しくてなかなかよめないです。 こんな変なことしか書かないのは、そのせいです。 でもこういう変な力が、たぶん、あるのです、源一郎小説には。

高橋源一郎の小説もいいけど、評論も楽しいですから、 もし評論やエッセーを読んだことがなければ、 そっちを読むと小説を読むのももっと楽しくなります。 だからといって、分かりやすくはならないかもしれないですが。


Junky
2000.1.

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