Junky : どうもお待たせ。
やや哲学的な猫 : やあ、久しぶり。
Junky : ボられたかな、今の地下鉄。10元で足りないなんて。
哲 猫 : 10元?
Junky : ちょっと乗っただけなのに。10元っていったら、羊の串焼きが5本も食べられる。
哲 猫 : まあここは中国じゃないんだし。
Junky : バスならウルムチから天地まで行っちゃうぜ。
哲 猫 : どこだよ、それ。
Junky : いや僕のような国際トラベラーになるとさ、価格の判断には元換算が好都合でね。
哲 猫 : ふ〜ん。
Junky : 結局まけてくれなかったな。君も10元払ったのか?
哲 猫 : 切符を値引きするやつなんていないよ。
Junky : あいつら。そうとう儲けてるぞ。
哲 猫 : とにかく近くの店で、なんか食べよう。
Junky : そう。カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンと回って、最後に飛行機でソウルに寄って帰ってきた。
哲 猫 : あの辺って安く旅行できる?
Junky : できるよ。特にウズベキスタンは安かった。というのも闇両替があってさ。銀行だと1ドル180スムくらいのところを、闇で換えると550スム。
哲 猫 : ざっと3倍か。
Junky : うん。でもウズベクは高額の紙幣が無くてね。100ドルを一気に闇で換えると、スムの札束がごっそり出てくるわけ。びっくりするよ。数えるのがまた面倒くさい。財布になんてとても入りきらないから、札束を輪ゴムで留めて、デイパックにそのまま放り込んで持ち歩いてた。
哲 猫 : へえ、すごい。
Junky : なんか成金気分だったよ。
Junky : うわ、日本語だ。気をつけろ。こういうのに限って人をだますから。
哲 猫 : おいおい失礼なこと言うなよ。
Junky : あ、水なんか飲んじゃだめだ。
哲 猫 : ・・・・
Junky : おしぼりも使うな。あとできっと追加料金取られて泣きを見る。
哲 猫 : 大丈夫だって。
Junky : いやいやよくある手口だ。
哲 猫 : ほら、メニュー。
Junky : なになに。ハンバーグが1000、カレーライスは800・・・え〜っと、これウォンかな。
哲 猫 : ウォン?
Junky : だったら任せとけって。韓国には10000ウォン札と1000ウォン札があってさ。日本みたいだろ。だから5000請求されたら1000と書いてある札を5枚渡せばいいんだ。
哲 猫 : 当たり前じゃないか。
Junky : ところがなんと、それは5000だけど5000円じゃないんだ、500円ということなんだ。なぜなら円はウォンの十分の一。10000は1000円、5000は500円。全然平気だろ。
哲 猫 : いや、でもこれは・・・
Junky : つまり、このハンバーグの場合は、1000とあるから1000の札が1枚でいいわけ。だから、それは円に直すと・・・あれ?1000円か、へんだな、やけに高いな。
哲 猫 : だから最初から円だって。
Junky : 金足りないかも・・・
哲 猫 : どこ探してるんだよ。財布はここだろ。
Junky : あそうか。リュックじゃないんだ。ついウズベクのくせで。
哲 猫 : 貸しとこうか、少し。
Junky : いや持ってる持ってる。じゃちょっと失礼して。
哲 猫 : あズボンなんか下げて。
Junky : 腰のセイフティベルトに隠してあるもんで。
哲 猫 : 日本に帰ったんだから、そこまでしなくても。
Junky : いや、油断は禁物。
哲 猫 : だいいちパスポートはもう要らないんじゃ・・・
Junky : よし!ドルを使うことにする。しばらく待っててくれ。
哲 猫 : どこ行くつもり?
Junky : 外で闇両替。