「言葉が意味をなしてしまうこと」を巡っているのが高橋源一郎の小説だとすると、吉田戦車の面白さもそれと似ているのではないかと思ったりしている。
話は変わって、きのう「プープーの物語」という映画を観た。監督は渡辺謙作という人。鈴木清順の助監を務めたという...にしてはやけに若く1971年生まれ。
褒め1 学生の自主制作作品、という雰囲気が、なんだか、良い。
褒め2 鮮烈な画面と唐突な展開が、まあ、良い。なかでも(見た人にしか分からないが)トランクマンという登場人物(?)とその登場の仕方に、頭のネジがぐらぐらとゆるんでしまった。このあたり、やはり鈴木清順を思わせる。とりわけ「カポネ大いに泣く」の。
で何が言いたいかというと、このトランクマンが鈴木清順を思い出させたのと同時に、吉田戦車をも思い出させたということ。(ただ吉田戦車の唐突さは、トランクマンや鈴木清順の唐突さの天真爛漫さに比べると、とても不気味な唐突さだ。)
おまけの話だが、この映画、リトルモアがプロデュースして若手監督のデビュー作を4本製作しテアトル新宿のレイトショーで年間を通してロングラン上映するシリーズの1作目。気合いの入った企画だ。あまり話題になってないんだろうか?
もうひとつおまけに鈴木清順といえば、このあいだ近所でドラマの撮影に遭遇した時、ちょうどロケバスから出てきた鈴木清順にばったり。爺さんらしい服装と表情だった。(ちょいと東京自慢でした。)