車のカセットが壊れた。
テープが取り出せなくなってしまったのだ。
ぼろい車にふさわしくぼろいな、まったく。
エジェクトを押すといったん出かかるが
すぐ戻ってしまう。
オートリバースのままどんどん回転し続ける。


壊れて回り続けるカセットのために
......入っていたのは嘉門達夫のアルバムだった。

疲れて少し感傷的な気分でも替え歌ばかり。
ラジオでニュースが聞きたくても鼻から牛乳。

弱りはてた末に、それでもどうにか取り出せた。

しかし、今度は二度と出せなくなるかもしれない。
そうしたらひとつのテープをずっと聴き続けなくちゃならないわけだ。

壊れて回り続けるカセット。
どんな音楽にしたらいいのか。

そこで、僕が選んだのはこれでした。