健太くんちのお姉さんその後
このトラック、何でしょう。
そう、嫁入り道具の運搬専用なんです。
トラックには箪笥だの鏡台だのがぎっしり積んであります。
横がガラス張りになっているのは、もちろん中が見えるようにです。
誰が見るのかと言えば、並んでいらっしゃる近所の皆さんです。
「ほう、さすがここの家は金持ちだ、ずいぶん道具がそろってる。」
「あら、ここの家は金もないのに、みえ張ったわね。」
そんな会話が交わされるのは想像に難くありません。
そればかりか、箪笥の引き出しも開いてもらって「あら、いい着物」とほめられるのがしきたりとか。
中がからっぽだと恥じをかくのです。
そのせいで、着るチャンスもなさそうな着物を無理して作るとかいいます。
で、このトラックはおめでたい音楽を流し、ゆっくりしたスピードで中身をさらしながら嫁ぎ先まで進んでいきます。
なお、乗用車の一台や二台は嫁入り道具として後を行くのは常識です。
健太君の姉、翔子さんも近々こういうトラックと一緒に幸せの日を迎えることでしょう。
きょう僕は散歩していて、たまたまこの場面に出会いました。福井に住んでいる人にはちっとも珍しいことではないのです。
みなさんの住む地域ではどうですか。情報があったら教えて下さい。
Junky
1996.3.16
■ファイル一覧
■迷宮旅行社・目次