今回の旅で最後に訪れた国がトルコです。キエフから飛行機で黒海を越えてイスタンブールに飛びました。ビザを取ったり宿を探したり観光したりと、まるで仕事のように忙しかった旅を振り返り、最後だけはとにかく何もしないでのんびりしようと決意してやってきました。イスタンブールはいい町です。決意の通りただぶらぶらしても面白いことばかりです。泊まったインターユースホステルもまた楽しいドミトリーでした。
ヨーロッパから見るとトルコは近場でしかもエキゾチックな場所なのでしょうか。気軽に夏休みを過ごしにきたという感じの若者で宿は大賑わいでした。フロントやレストランのスタッフは陽気そのもの。日本からの旅人は西洋人ほど文句を言わないせいか、あるいは、どこかメンタリティーが似ているのか、あるいは、西洋中心の世界に入ろうとして入りきれないところが似ているのか、僕らに心底フレンドリーに接してくれたような気がします。
しかしこの宿で気になることがひとつ。
ここのロビーに郵便物をいれる箱が置いてあります。ある日10枚ほどの絵はがきを書いた僕が「この箱の中身いつ郵便局へ持ってくの?」と訪ねたら、そのにこやかなフロント係は「毎時間」と冗談を言って笑いました。まあ大丈夫だろうとはがきを入れましたが、次の日箱をさわるとまだ中はいっぱいです。なんとなくいやな予感がしましたが、そのことは忘れてしまいました。
さて帰国してみると各国から出した手紙のうちイスタンブールからのものだけが着いていないのです。どうなってんだろうと思っていたら、投函から一月ほど遅れて届きました。
しかしあのインターユースホステルは大好きです。イスタンブールもこの宿ももう一度行きたいと思っています。その時こそあの郵便箱の謎をあのフロント係に問うつもりです。
* 写真は、インターユースホステルの窓から猫を眺める例のフロント係。