モスクワの次はウクライナ共和国の首都キエフ。これも列車で行きました。今回の旅で宿探しがいちばん困難だったのはここキエフでした。モスクワ以上に情報がなく、出たとこ勝負で当たっては見ましたが高級そうなホテルばかりでどこもバカ高。途方に暮れて町の中心にある広場でたたずんでいました。もうこうなったら一泊だけしてすぐ移動しようと決めかけたところに、目の前にインド人らしい若者3人がいるのが目に入りました。彼らなら英語を話せるだろうと(まあ、こっちがあまりうまく話せないのですけど)藁をもすがる思いで近づきました。
その彼らがちょっと迷いながら紹介してくれたのは、彼らが所属するある瞑想グループがキエフで拠点にしているアシュラム(道場のような場所)でした。
連れていってくれたのはインドの人ですが、アシュラムにはウクライナ人のメンバーが男女10人くらいで共同生活をしていました。僕にとって今回の旅で最も奇妙な宿泊場所はここだと思いますが、彼らにとっても奇妙な客だったことでしょう。でも彼らは一様に歓待してくれました。みんな穏やかで明るかったです。瞑想も体験させてもらいました。
しかしここでいちばん忘れられないのは食事です。朝といい夕方といい夜といい、彼らが交代で作る料理はどれも絶品でした。いくらかの金は払ってはいるもののホテルとは違うので「食事だよ」といわれても隅っこに遠慮がちに座っているのが常でしたが、ちゃんとたっぷり食べるのも常でした。モスクワでは物価高のため夜はカップ麺をすすったりする日々でしたから、ここに来ておいしい、しかもホームメイドの料理をしっかり味わえたのはラッキーでした。
* 写真は、ウクライナの広場。ここでインドの若者に会った。