モスクワ

モスクワはまさにヨーロッパ、それも大げに飾りたてたレトロ調の。そんなモスクワらしさを誇る建物のひとつに川沿いの芸術家アパートというのがあります。豪奢華麗な外観で、標準高等社会科地図にも記載があるほどですが、なんと、僕はそのアパートの一室に二泊したのです。
ロシアはバックパッカーが旅行しにくいところで、安いホテルの情報はほとんどありません。しかもモスクワの物価は日本と変わらぬくらいに高く、良い宿を探せるかどうかは旅の生死を分けると言っても過言ではありません。(いやちょっと過言か?)
僕は、自分のアパートを旅行者に貸している人がいるという情報をモンゴルで得ていて、モスクワへ着くとすぐ電話しましたが、たどり着くまでにとにかく苦労しました。こんなに人がいるのにほとんどだれも英語を話さないということもありますが、それにもまして目の前にそびえていた巨大で立派な建物がまさか今探している安宿だとは夢にも思わなかったせいです。
部屋はシックで家具も長年使い込んだものらしくロシアの伝統といったものを感じました。眺めも抜群。台所がまたチャーミングでした。アパートに住むのはマリーナさんという高齢の女性で朝食も用意してくれます。それでふたりで1日25ドルというのは涙が出ました。
予約客があるということで、突然訪ねた僕らは2日しか泊まれず、そのあと別のやや高いホテルへ移動しましたが、芸術家アパートのマリーナさんの部屋はモスクワの最初で最良の思い出になりました。

* 写真は、芸術家アパート外観と部屋の中。


こんなところに泊まりました。(index)