北京からモンゴルへ。列車の窓から緑の平原と空しか見えない風景は実に不思議。そこに出来た町とはいったいどんなものなのか、どんな場所に泊まれるのか、全く見当のつかない状態で首都ウランバートル駅に降り立ったのですが、はたして宿泊したところは幼稚園でした。
モンゴルの遊牧民のテント式住居をゲルと呼びます。最近は草原を離れてウランバートルに来る人が多く、彼らはそのままゲルを建てて町に住み着くようです。そういう風に暮らすガーナさんという男の人が自分の住まいの一部をゲストハウスにしています。僕はこのガーナさんにお世話になりました。
駅から車で1分ほどなのに妙に静かな場所に付きました。こぎれいな建物です。中はがらんとしています。「ゲルは満員」というので別の所へ行くのは分かっていたのですが、そこが幼稚園で夏休みの間だけ旅行者に貸しているということを知ったのはしばらく中を見学した後でした。小さいベッドを3つくっつけて使うようになっていたわけがそれで理解できました。それだからトイレの便座がやけに低く小さく、また敷地内にシーソーやぶらんこがあったのです。
ガーナさんはちょっと立花隆に似てごつい顔なのですが、本当に親切でこちらの要望をよく聞いてくれました。だから一泊5ドルを毎日感謝して渡していました。ガーナさんはまだ車がなくアパートにも住んでいません。「アパートを借りるのは難しく、買うしかないが、一生働いても払えない額だ」とか言っていました。
ガーナさんのゲルにはガイドブック「地球の歩き方」が取材に来たらしい。あの本に載れば彼も財をなし、駅へ自分の車で客引きに行ける日も近いかなと思ったりします。

* 写真は、連れていかれた幼稚園。


こんなところに泊まりました。(index)