迷宮旅行社は断然
おじさんの味方です

月光仮面のおじさんがまた現れた。
住専処理に抗議して大蔵省前で「焼身自殺する」と予告。待ち構えた報道陣の前に姿を見せた。しかし大蔵省に向かって文句をぶちまけただけで、火は一切出さずパフォーマンスは終わった。らしい。
マスコミも今回はほとんど報道しなかったみたいだ。取り上げたのは朝のワイドショーくらいか。ああ、おじさん、ちょっと今回は失点だったかも。
しかし、僕はおじさんをねぎらいたい。バカの代名詞、芸能リポーターは「どういうつもりなのか」と問いつめていたが、それは文字どおりバカだからだ。僕はおじさんの意図がよく分かる。予算委員会前で仲良くに座り込む新進党議員に比べたら、どこか孤高というものさえ感じる。
おじさん、がんばれ。あなたは地を這う庶民の星だ、太陽だ、いや、月か。


おじさん賛歌


現代巨大メディア社会における月光仮面の位相と構造と力と菊と刀(古い)

テレビというものがニッポン列島津々浦々まで「善悪・美醜・真偽」の強力な拠り所となっている現状は昔も今も変わらない。そんな中でテレビに出るのはやっぱり、エライ政治家、かっこいいタレント、悪い逮捕者、そんなのばっかり。
しかし月光仮面のおじさんは、正義の味方として素人の声を代弁する一方で、テレビの表舞台に実に低予算で実にあっけなく踊り出る方法をも教えてくれたのだ。
まあ今回はお騒がせだけで「報道」からは無視された形だが、それでもたくさんの職業記者たちや職業警官たちを仕方なく集まらせたのは、痛快というものである。いつもは力なき一般人の声になぞほとんど耳を貸さない連中なのだから。
国家があって大蔵省があって金貸し大会社(銀行ともいう)があって報道大会社があってという、そういう巨大で固いシステムは無産者がどう叩こうが微動だにしないとつい諦めがちだ。しかし僕は月光仮面がテレビに映るたび、そういうシステムとやらもまだまだ可塑性があるのではないかと勇気が湧いてくる。
これは青島知事誕生、あるいは菅厚生大臣の活躍を同時代に体験できた喜びにも似ているのだ。