これは冗談。
大学生諸君をちょっと脅かしただけ。
でもちゃんと聞きましたよ、レンタルCDで。このアルバムがニッポンのwwwであまりに話題に登るものだから。
僕は1958年生まれです。団塊の世代と言われる1948年前後の世代から10歳あとを追いかけて生きています。
団塊の世代はいわゆる「戦争を知らない子供たち」です。人口も多いので、自分たちがそれ以降の世代のトップランナーという意識を持っているのではないでしょうか。先を行く世代には従わないぞ、でも後に来る世代はついてこい。ちょっとそういうところを感じます。ああ、うっとうしい。受験戦争や学生運動も彼らのものでした。ビートルズ熱もベトナム反戦も彼らのものでした。ちょうど彼らの青年期が、ニッポン国そして先進国を中心にした世界までもが時を同じくして青年期だったのです。思えば幸せな人たちです。
もちろん彼らも「就職が決まって髪を切って」大人になりました。ニューファミリーとなって団塊ジュニアを生みました。朝日ジャーナルもなき今はシンラとかサライなんて雑誌を読んでるかもしれませんね。絶対に年寄りになどならない彼らの未来が僕にはなんとなく見えます。
そういう世代の後を生きたことが影響しているのかどうかは知りませんが、僕あるいは僕らは、ちゃんとした歴史観を形成することなく時代をやり過ごしてきたようです。「いろんなことはもう終わってしまったんだ」という意識が底を流れているのです。つい最近までジャイアンツの4番だった原選手も実は1958年生まれです。
音楽についても同様です。こういうジャンルからこういうバンドが出てとか、こういうイベントがあってとかの「音楽の歴史」を身をもって味わうことが出来ませんでした。いろんな音楽は、やっぱりすでに終わっていたのです。レコードからCDへ乗り換えながらそう感じていたのだと思います。
さて「69/96」は僕のほぼ10年あとに生まれた人の音楽です。そういう人たちと成長環境や時代背景を共有しないながらも、 興味津々で聞きました。
そして、次々に繰り出されるサウンドやボイスを聞きながら、ふと、彼らの世代には僕らの世代がどう映っているのだろうかとの疑問が生じました。たぶん、58世代が48世代をうっとおしく思ったようには、69世代は58世代なんて問題にもしていないんだろう、ということにうすうす気づきながらも。
しかしこれだけは知ってください。58世代の僕たちだって「もう音楽なんてすっかり終わってしまった世代」だったんだということを。
いや、あるいはもしかしたら、69世代は「音楽がすっかり終わってしまったということすら、とっくに終わっていた世代」なのかもしれませんね。「戦争を知らない子供たち」ではなく「戦争を知らない子供たち、すら知らない子供たち」というか。
これが「69/96」が僕に考えさせた問いです。