迷宮旅行社が独自にお届けする
特選ハイパーリンクの旅
(ページは1996年1月のものなのでアドレス変更などで存在しないものも多いです。)
現在とにかく目立つのは大学生のパーソナルページ。ネットならではの企画を試しながら日々発展しつつあります。うらやましくも学校(税金)がまかなう巨大コンピュータと有り余る知性・暇をフルに使える学生の本領発揮か。よく話題になる定番e-zineをピックアップしました。ここにあげたのはいわばホームページ世界のロンドン、パリ!たがいにリンクもはってあって移動も楽々。ジェット機でビューン、まとめて回る感覚でどうぞ。
- Pickles Spinn Communications実に多くの人が熱く支持する通称ピクスピ。千葉大学にある。文体の特異性がよく指摘されるが、それよりも「アティテュード」というタームでくくられる表現と生活態度の結びつきに僕はふと寺山修司を思った。最近の企画「リソハン」はネット上から探してきた画像をコラージュするもの。渋谷のサイバーカフェでイベントまで開いた様子。ネットがネットでネットを思考している。
- LOVE FONTSシンプルかつ深い名前そして気のきいたカバー画像がいい。こちらは慶応大学の学生。同じ人が作ったPETも忘れずに訪れてみること。別の人たちが自分のホームページの一部にリンクをはることで出来上がる企画。表紙に書かれた通りまさに「雑誌の存在場所を限りなく曖昧なもの」にしつつある。
- Japan Edge九州工業大学の学生が複数で作ってるもよう。米国をヒッチハイクしながらWEBでサポートを呼びかけるという面白いことを95年初期にやっている。テクノの話題などになかなかついていけない僕はニッポンの先端にはなれないのかも。登録者があまりに多くネットスケープのデフォルトメモリーでは全員を読み出せなかったので、数は定かでない。
大学ページまだまだ刺激満載
もちろんほかにも素敵な旅先はいっぱい。上に上げたのはあらゆるリンクルートで行けるみたいですから、ここには迷宮旅行社独自の好みで選んだ大学ページをのせていきます。といっても、もはや有名なところばかりかな?
- TokyoMongerやかましくも、はなばなしくもないのだが、一枚一枚めくるごとにかっこいい。最近見つけた電通大の学生ページ。通好みかな。流行にのった社員ネット研修や体裁だけの団体ネット観光には向かない。
- LOGIC OUTひねりとお茶目が静かにきいている。これは慶応大の学生。浅田彰のレクチャーを見に行ったりする知性。でもピチカートファイブには熱くなる感性。
- スタヂオ世界機械たとえばページ名でも横文字ばかりの他の大学生ページとはひと味違う。演劇で活躍しているらしい作者は名古屋工業大学の人。意外に理系だったのです。
- Brain's Spikesインターネットに関する肉声が伝わるページ。肩に力を入れることを嫌う人が多いけれど、いつもへらへらしているよりは、すがすがしくて好きです。それにしても千葉大には面白いページがいっぱいだ。
- Bean-Beam!!これも電通大の学生ページ。豆をメタファーに各コーナーを構成していて、一見かわいく実は深い。僕がメールで送ったデータを載せていただいた。
のんきものたちに出会う旅
インターネットにはテレビの視聴率も漫画の編集者も存在しません。個人が自分のセンスだけでひたすら笑いを追求します。テレビの前であいかわらず一斉に笑っていた日本中の年寄りや子供が眠りについた深夜、あなたはたった独りコンピュータに向かってにやりとできます。その優越感を約束しましょう。
- 東京福袋 まずは黙ってここをのぞこう。あらゆるのんきが詰まっている。愉快なハイパーカードでお馴染みの宮下由紀子さんらが制作している。リンクがまたのんきの宝庫。
- 三ツ矢浩之のホームページ。点取り占い。誤変換の宴。エセ倍角の館。この微妙でシュールなおかしさ。ああ世界中すべての人が理解できるわけでないところが実に残念。リンクフリーという共通認識を提唱しているページでもあります。
Seek and find ART
WWW独自の表現が生まれる可能性が最も高いのは、理論としても実践としても実は現代美術というジャンルなのではないでしょうか。コンセプトに肉体を与えることがアートだとすれば、WWW上ではコンセプトが研ぎ澄まされさえすれば、それをデジタルとしてあるいはネットとして肉体化させるのは、絵の具や木材を使うよりは技能の習得が容易です。僕たちはみな現代美術作家になるべし。その参考書なら絵を描くマニュアルページではなく、できる限りわかりにくくかつわくわくするページがよいですね。
- ideal copy この周辺には東京大学人工物研究所だとか、その関連らしいRACEだとかA.T.E.だとかのぺージが入り組んでいて、いわばコンセプチュアルアートのストリート。英語なので詳細がわからぬところがまたどきどきする。
- ART+COM これはベルリンにあるようだ。自分のデータを登録できるらしい。当社もただいま下見中。
- 富山県立近代美術館検閲訴訟 そういう問題があったことをも包括できる美術を生み出すためにまずは出かけてみてほしい。美術館から追放されたある絵画をネット上で展覧させる試みでもある。
- Magritte マグリットは現代の人ではないけれど、好きな画家なのでリンク。画質のいい絵がちゃんと見られる。フランスにあるページ。ちょとだけ文字化けしたら、それはおふらんすにたどり着いた証拠。
禁断のゴールデン・トライアングル
顰蹙も憧憬も得ているこのお三方。なにより激しく笑えるから凄いんだ!ということを最初に述べたうえで、インターネットへのカン違いに対する劇薬とも言っておきます。 いいですか、毒ではなく薬です。本物の毒をネットに流せるのは残念ながら本物の悪人だけでしょうから。彼らは超真面目。だから好きです。(この場合の真面目とは知識披露とか啓蒙活動とかとは全く逆の意味。)だから日々進歩します、読む僕たちも彼らも。もう、ここに浸りきってインターネットの大海など無視してよろしい。
- チク菱インターネットジャパニーズが生んだトリックスター、ユーゴ氏のページ。ここを起点にするとよい。web暴力は突然終わり貞奴企画もクーデター的変遷。彼自身もよく旅にでてしまうので注意。その都度タイトルもかわるし。政情不安定な旅先。
- Answer MeLOVE FONTとの議論が実にダイナミックで興奮した。カバーページにも深くうなずいたり笑ったりさせてもらう。それが長く残っていないのがまたすがすがし。タバタ氏の個人ページ。
- おすっチク菱の企画web暴力でユーゴ氏とタメをはる健闘をみせたイマフク氏のページ。あれはまさにwwwの歴史に残る。それでいてここには詩がいっぱい。
知らないサイトを歩いてみたい
魅力いっぱいの場所がいいがアクセスの混む観光ルートではいやだ。あるいはガイドブックもない変な所を訪ねたい。そんなネットトラベラーのためのセレクション。
- Cafe Expresso知のオアシスはここにあった。ボキャ天でめったに出ない「シブ知」というやつだろうか。脳を気負わず扱いデザインも控えめでクール。「個々人の意識が有機的ハードウエアである肉体を越えて、ネットワークを組むことは可能なのだろうか?」などとある。大阪の地図と脳の地図が似ていたりするのがちょっとおかしい。
- Music of π円周率の数値を音楽に変換したら・・・
- 僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?デジタルだから意義がありネットだから面白い、そういう視点で褒められるホームページは多いようだが、ここはそんなの全然関係なしにガーンとくる。すごい。読め!
non section
- インターネットどこでもドア「毎日更新」楽しく真面目、軽ーく真剣。ネット旅行に飽き行き先を考えあぐねたらここへ。
- Kubrickそうキューブリック。ピーター・セラーズもジャック・ニコルソンも不気味に笑っている。
- 『オウム的!』マルチメディア版議論の本当に議論すべき地平を示してくれた、僕が同時代に遭遇した稀代の人物、小林よしのり氏。「なんにもわからない」とつぶやくネット上になんといきなりリアルオーディオで登場。
- CLUBKINGスネークマンショー。それが時を経てこんなサイトに。
- s i t e s a k a m o t o もちろんあの坂本龍一さん。今インターネットづきまくりで、アルバムにその香り漂いライブはそれ一色。一般サーファーと丁寧なコメントのやりとりまでしていたが、なぜかそれがもとで先端的な大学生ページでは「skmt」はむしろ非難というか軽い軽蔑の代名詞になってしまった。ネットという新世界に旧世界からの割り込みはごめんという意識が働くのか。しかし「世界の坂本」が標的になるというところがネットの革命的なところ?
- Tetsuo Kogawa/Polymorphous Space粉川哲夫さんのページ。デリダやドゥルーズのコメントが並んだり、デジタルキャッシュなどの話をポスト資本主義の名でくくったりと、視点やセンスがさすがという感じ。それでいて、いかにも「メディア批評家WWWに登場!」っていうキバリかたでなく、なんかむしろ同じ位置で考えてくれているようで、おこがましくもうれしく思っている。
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